「血の轍」「惡の華」「ぼくは麻理のなか」など心情描写が特徴的な数々の名作を世に出してきた奇才漫画家・押見修造
その新作「おかえりアリス」4巻の感想や考察を書いていきます
かなりマニアックな部分も読解していくので、4巻を読んだ方にこの記事をおすすめします
前巻(3巻)の感想はこちら
では、参ります!
「おかえりアリス」4巻の感想・考察【ネタバレ】
慧ちゃんの性の謎が少しずつ明らかに
4巻の目玉といえばまずは、ココでしょう
「僕はただの人だよ」
「男でも女でもなかった頃に戻りたい」
こういった発言から、慧ちゃんが女性?になったのは、純粋な過去への回帰という側面もあることがわかりました
「男を降りる」という発言の意味が少しずつ明らかになっていきましたね
オンナとかオトコとかはどうでもよく、昔に戻るために一番良い方法としてきれいな女性になって洋ちゃんの本能を刺激する
んー、なんとも合理的です
ちなみに、お風呂での慧ちゃんは制服時より肩幅が狭く感じますが、ここにも女性らしさが伺えます
あえて女性らしい身体を押見先生は描いていますね
思春期と青春を描いた「惡の華」
性を描く「おかえりアリス」
という対比がより一層はっきりとしてきた巻だったように感じます
早く慧ちゃんの北海道話、過去編がみたいですね!
相変わらず性に翻弄されるモテ男・洋平
4巻でも相変わらず洋ちゃんのモテ男ぶりは続きます
羨ましいですな
阿野 蓮の登場など、洋ちゃんのハーレムは拡大の一途をたどっているわけですが、全ての女性に洋ちゃんは頬を赤らめているんですよね
これがちょっと面白くてリアルだなと感じました
筆者が特に注目したいのは、23話です
23話のタイトルが「偏愛」というところから、もうドキドキが止まりませんでしたが、読んで見るとこれまたアダルティ
いくつか面白い部分があったので、小分けに短く語ります
見開き射精
まずは射精を見開きで表現する斬新さ
しかも背景は全面真っ黒でポッカリとした洋ちゃんの心情も表現しています
「まるでオナニーみたい」の真意
また、「まるでオナニーみたい」という発言
ちょっと考えたのですが、実は意味深なんですよね
皆さんは1巻2話で、
「教えてあげるよ オナニーよりすごいこと」
と慧ちゃんが言ったのを覚えているでしょうか?
それに対し、三谷との行為はオナニーと同じ
これはつまり、慧ちゃんがオナニーよりすごいことを教えるのに対し、三谷はオナニーと同じレベルのことしかできないということなのです
前巻の感想でも書きましたが、慧ちゃんの圧倒感が浮き彫りになっています
行為後の三谷の怖い表情も、慧ちゃんと比較されている感が見えてしまいますね
4巻では、三谷は慧ちゃんの前では常に後ろ姿だったりと、確執と同時に慧ちゃんの圧倒的な魅力も描かれていました!
電話の出方
ここらへんのコマ分けも面白かったです
拒否を押そうとしているのは、三谷とやってしまった後悔や後ろめたさ、恥ずかしさからでしょう
ですが、すぐに指を動かしていることから、慧ちゃんの魅力もクローズアップされています
こりゃすごい
普通は「ちょっと迷って電話に出る」という描写でいいところですが、あえて拒否マークを出すことで心情を表現していますね!
ここらへんの丁寧さは一流です
抽象画
いや〜、これほんとすごい
慧ちゃんの家でオフロに入った帰り道ですが、圧を感じました
月明かりに照らされる地面の白さはハッピーな心情を表していると思われますし、水たまりはシャワーの水を連想させます
もうほんとどこまで考えて描いているんでしょうか
「漫画家は読者の5倍考えている」という話がありますが、このシーンの意味はめっちゃ押見先生に聞きたいですね
長くなってしまったので、ここらへんで終わろうと思います
まとめ:「おかえりアリス」4巻の内容・感想・考察【ネタバレ】
以上、「おかえりアリス」4巻でした
握手の効果音が「ふにっ」だったりと、心情を表現した上手いポイントは随所にありつつ、慧ちゃんの謎が明らかになってきた巻だったと思います
いや〜、2周、3周して気づくものもまだまだありそうです
次巻はこちら
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