1巻完結の漫画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」を読んで、とても感動したので感想を書きたいと思います
ネタバレはあるので、そこは気をつけてください
作者は「惡の華」「血の轍」「漂流ネットカフェ」「ハピネス」「ぼくは麻理のなか」など数々の名作を世に出してきた押見修造先生
それでは、ツラツラと書いていきます
漫画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」に感動しました【感想・ネタバレあり】
押見先生、まさに心情描写の鬼でした
本当に一筋縄ではいかないリアルさがあって緻密で、それでいてドラマティックで物語として面白かったです
まず、主人公・志乃ちゃんが健気で優しくて純粋なんですよね
加えて、大胆な勇気もある
最後の話では大勢の前で自分の葛藤をさらけ出し、友だちのために啖呵を切れる勇敢さがあります
これでもう、応援したくありますよね
かよちゃんの歌声を笑っちゃったことを素直に認め、謝ろうとする素直さ
菊池が惚れたのも共感できます
時系列に語っていくと、クラスで発言ができない志乃ちゃんに対しての先生
これが、うーん、これでもかという感じで、全く彼女の特性を理解してないんですよね
大人である先生にすら理解されない苦しみ、は描かれてませんでしたが、
ずっと恥ずかしそうにもどかしそうにしている姿になんとも言えない気持ちになりました
んで、先生が呼び出すシーン
「自分は全てわかってる上で大人な対応してるんですよ」という感じがとてもムカつきます
リアルで多分普通の先生はこうなるんだろうなというのはわかって、ウマい描き方なのですが、
常識をドヤ顔で押し付けてるだけで、なんの解決にも繋がっていないのが難しいですね
↑このシーンも切なくなりました
人を恨まない優しさ、1人だと言える不器用さ
でもそれでは伝わっていない、伝わっていなければ意味がない、そういった色々を考えてしまう一コマでした
そんでもって3話
「何か面白いこと書いて」という問いに対して
「おち○ちん」という解答を出せるセンス
エグいです
ココらへん押見先生ならではの拍子抜けで、不意打ち喰らいました
4話は最後のシーン、友だちの家に来れたのに、ギターを笑ってしまって追い出しを食らってトボトボ帰るところです
筆者は「悔しさ」を1番に感じました
どんな気持ちなのか、想像させる涙です
その後菊池がグループに加わるわけですが、この三角関係ね
ほんとに高校生の不器用な淡い心情を描くのがウマいなあと思いました
吃音、音痴、空気読めないバカという登場人物3人が全員だめな部分、コンプレックスを持っている
その誰もが持っているコンプレックスを1番見えやすい形で持っていたのが志乃ちゃんだったんです
きれい事でいろいろ語ることはできますが、本当に同じ状況だったらどう反応するか
どこまできれい事を人は貫けるのか
自分も漫画内の「何あれ?」「ギャハハハ」と笑う周りの人たちになってしまわないように生きたいと思いました
筆者も尊敬する友だちが失語症になったときがあって、自分が思った言葉を出せない苦しみは身体の障害とはまた違ったタイプのものということを聞いていたので、とてもリアルに読めました
↓この記事の友だちですね
志乃ちゃんは最終話で自分の感情を大勢の前でぶちまけましたが、決して菊池とかよちゃん意外には伝わっていないというところもリアル
あとがきで先生が「自分も吃音だった。あえて吃音という言葉は使わなかった」
と書かれていて、すごいなと
実体験だからリアル、それでいて
吃音という単語を使わなかったから、説教臭くなくて障害者への共感というところに留まらずに普遍的なものになっていました
もうただ次が気になってシンプルに漫画として面白かったです!
ただ最後の「たけみや・しのですっ!」には
たけみやって誰やね―――――ん!
菊池じゃないんかーーーーーーい!!
とツッコんでしまいました
菊池、ドンマイ
まとめ:漫画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」に感動しました【感想・ネタバレあり】
以上、「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の感想でした
1巻完結、約10年前の漫画ですが、心情描写がひたすら鬼すぎてハマる1作でした
感情表現が素晴らしくて、吃音のリアルも伝えつつも説教臭くない
面白かったです
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