「血の轍」「惡の華」「ぼくは麻理のなか」など心情描写が特徴的な数々の名作を世に出してきた奇才漫画家・押見修造先生の新作「おかえりアリス」
本作2巻のハイライトを振り返ったり、全体の感想を書いたりしていきます!
前巻(1巻)の感想はこちら
まず、1巻と表紙の絵のタッチ、テイストが違いすぎませんか?
1巻↓
2巻↓
もはや別マンガに見えてしまいますよね
作者の引き出しの多さが伺えます
※以下、ネタバレを含みます
男と女の間で揺れ動く洋平の純粋な葛藤「おかえりアリス」2巻感想・考察【ネタバレ注意】
デート、絡み、アパートの3つにわけてハイライトを振り返り、最後に全体の感想を書きたいと思います!
洋平と三谷のデート
三谷は慧ちゃんのことが好きということをはっきりと洋平に伝えながらも、放課後デートする二人
いい感じのムードでしたが、意図的にキスを避けたような感じも出してました
2巻をすべて読んだ後になると、三谷の悪い部分、デビル三谷もこの時点で出ていたように感じてしまいますね
ここはあまり言うことがないので、次に行きます
慧ちゃんが家に来てベットで絡む
まずは、「三田には女の子なんだぞ!」と洋平が怒るこのシーンの慧の表情
度々見せるこの無の表情ですが、慧ちゃんのことがわかるキーポイントかなと思います
慧ちゃんは何に否定的で興味がないのか、そこがこの漫画において大切なのではないかと
男だから、女だからと男女の区別をするような部分には冷たい眼差しで批判的なんですね
絶望も感じる真剣な表情
色々と想像が膨らみますね
2つ目は、2巻1番の謎であるこのシーン
「洋ちゃんは僕のもう片方」
考察としては、
- 自分(慧)は降りた男、そのまま男として生きた洋平という意味でのもう片方
- 相棒やパートナーという意味での片方
が個人的には考えられるかなあと思いました
ここは最も意味深で、伏線だと思うので覚えていきたいところですね
慧ちゃんアパートにて
まず、コレですね
「好き」の定義を揺さぶるこの発言
支配せず、好きに条件や束縛を求めない
少しずつ慧ちゃんの行動原理が見えてきて、なるほどなあと感心してました
最近だと、「こういうのがいい」という漫画にも似たような新しい関係性が示されてしましたね
あと、ちょっと思ったのは、肩幅の広さです
やっぱりココはうまく男として描いているんだなと
見た目は一見女性っぽく見えるけど、「僕」という言葉づかいしかり、実は男に見える工夫もされてるんですね
そんでもってここです
悪いですね〜
デビル三谷は、洋平の注意を自分に向けることで、洋平と慧ちゃんを離れさせ、自分が慧ちゃんを独占する、そんな魂胆が見えます
表情もエグい
三谷は洋平とは本気じゃないから、キスはNGなのでしょう
1巻の最後、「けど、悔しい」と三谷が言うシーンの回収にもなります
優位を示され、悔しいから、慧ちゃんへの当てつけも含めて洋平を奪う
ココらへん展開うますぎです
それに動じない慧ちゃんの信念や考え方も垣間見えて面白いですね
「おかえりアリス」2巻全体の感想
一言で言いましょう、ドエロイです2巻
素晴らしき官能でしたね
効果音や羞恥心のリアル、慧ちゃんがアグレッシブすぎました
また、「性欲が悪いんだ」「性欲には流されない」という洋平の心情シーンが多々ありましたが、
そもそも男である慧に性欲が湧いてしまっていて、洋平はそこを自覚している部分が面白いと思いました
歪みがどこまで狂気へと吸い込まれていくのか、気になります
あと、慧ちゃんの「言っちゃおうかな〜」に対する、「やめろ!! マジで殺すから!」などに見える洋平の高校生らしさもいいですね
この思春期の未熟さと慧ちゃんの大人びたアブノーマルが対比的で面白いかったです!
そんな感じ♪
全体的に「おかえりアリス」の魅力を語った記事はこちら
まとめ:「おかえりアリス」2巻感想・考察【ネタバレ注意】
以上、「おかえりアリス」2巻の感想でした
表情の深みがあるのでフカヨミができてしまうのが押見作品の良いところですね
大人びたエロスが目立つ慧ちゃんですが、「うれしい」と純粋に喜んだり、楽しくご飯を食べたりのシーンもあります
あくまで一つの考え方に沿って生きているだけなのでしょう
その部分以外は高校生なのです
そう信じましょう笑
次巻はこちら
ほかの押見作品はココらへんをレビューしてます↓
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