漫画版「戦争は女の顔をしていない」を読んだレビューを書きます
この作品は、500人以上の従軍女性を取材し、その内容から出版を拒否され続けたノーベル文学賞受賞作家のコミカライズ
あらすじ・内容としては、
となっています
ちなみに、独ソ戦では、ソ連は1億9千万人の人口に対して2700万人もの死者を出してドイツに勝利しました
このようなバックグラウンドが巻末のあとがきで書かれていますね
それでは、感想に参ります
独ソ戦の女性に焦点を当てた漫画「戦争は女の顔をしていない」【感想レビュー】
どこよりも確かな言葉の力強さ
- 「そういう気持ち」
- 「そういう感じ」
- 「〜って感じ」
そんな言葉足らずなコトバから生み出される力強さ
おおよそ人間の口から出ることを想像できない台詞がミシミシと入っていました
生、リアル、現実的、ガチな、真実の、そんなありふれた単語では表わせない生身の言葉
大砂漠を裸で歩くような生身の漫画です
「幸せって何か」と訊かれるんですか?
私はこう答えるの殺された人ばっかりが横たわっている中に
生きている人が見つかること・・・
戦争で一番恐ろしかったのは・・・
男物のパンツを穿いていることだよ
漫画の持つパワーを超えていました
マンガというのは、こういう伝え方もあるんだなと、
漫画の可能性を切り開く一作でもあると思いました
戦争は男の顔
驚きだったのは、女性が志願していることです
スターリンの独裁による洗脳ではなく、兵士にせよ、看護師にせよ女性自らが戦争に対して積極的に参加していました
軍に属する女性から見た戦争というものが描かれているのですが、一貫して「国のために!」という心なんです
「こんな美人がなんで・・・」と理解できない男が出てきますが、この女性が今日本にいたらそれぞれがモデルの仕事をしていたのかもしれません
そんな女性が、当たり前のごとく戦争に勇み足
ものすごい流れ、世界です
ただ、戦争後も
- 冷ややかな目で見られたり
- 女性として見られなくなってしまったり
- 何十年も離れないトラウマとなったり
と厳しさがあり、その戦後も少し描かれていたのが素晴らしいと感じました
日照りの中、生理の血が固まり、ガラスのようになって足が傷つくなど、
女性ならではの視点はこれまでの戦争史(常識)にないもので、筆舌に尽くしがたい新鮮な衝撃があります
イラストも極端に強い情動を煽るようなものではなく、できるだけ多くの人や年代にフラットに読んでもらう努力も垣間見えました
共感されないことを描いているすごさ
- 死体の山を馬車の車輪が潰す音を聞いて嬉しくなる
- 他国のものを盗む
- 子供の戦争ごっこ用おもちゃを捨てる
など、今の日本の価値観では肯定されないことを堂々と描いているのが素晴らしいと感じました
戦争の悲しさだけでなく、憎しみはリアルで真に迫るものがありますし、当時の「ドイツに勝つ」という気風が伝わってきます
これで泣けるのは能力です
これで感動できるのは、あなたの想像力や感性が優れているからです
あとがきでも、「想像力、それはこの作品を読むにあたってとても、とても大事なことだ」と書かれていましたが、想像でしかこの漫画の間を埋めることができません
歴史的背景や当時の男性主導の戦争観を想像してのみ、この漫画が真価を発揮すると思います
善悪の判断はいりません
ただ、「そういう感情があった」ということを心に刻むべきだと感じました
この漫画の証言は必ずしも事実ではないですが、彼女たちにこの強い言葉を生む機会を与えたのは戦争
繰り返さないためにも、一人でも多くの人に読んで想像してほしい漫画ですね
またなにか思うところがあれば追記します
まとめ:「戦争は女の顔をしていない」感想レビュー
以上、「戦争は女の顔をしていない」を読んだ所感でした
正直、こんなに薄い感想で挙げて良いのか悩みましたが、広まって欲しいが先行して記事を投稿しました
聞き手の難しさも描かれており、そこも含めてよくここまで言葉にできるなと感心してしまう魔力があります
200作品以上レビューしてきた筆者も、「漫画って、こういう風な使い方もできる媒体なんだ」と新鮮な漫画でした
教科書にして良い内容ですし、漫画ならとっつきやすいのではないでしょうか
まだ読んでいない方はぜひ、一読してみてください!
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